鳥貴族(株式会社エターナルホスピタリティグループ)の最新決算。売り上げ増に反して、利益が得られない悪循環から見事に脱出、飲食業界における「勝ち筋」を明確に示す結果となりました。
- 売上高は前年同期比で14.9%増
- 本業の儲けである営業利益は21.9%増
大幅な増収増益を達成しています。
前年度、コスト増による減益に苦しんだ同社。今年5月に実施した価格改定を機に、収益構造は劇的に改善しました。
参照:株式会社エターナルホスピタリティグループ|2026年7月期 第1四半期決算短信
鳥貴族の利益回復の理由|受け入れられた値上げ施策
答えは明白です。「価格改定(値上げ)が受け入れられ、コスト上昇分を吸収したから」です。 特筆すべきは、単価上昇による売上増だけではありません。
- 客数: 増加基調(インバウンド+賃上げによる消費マインドの改善)
- 客単価: 上昇(価格改定効果のフル寄与)
通常、値上げは客離れのリスクを伴いますが、鳥貴族の事例は「適正な値上げ範囲と理解を得られれば、なんとかなる」ことを実証しました。社会全体の心持ちが、デフレからインフレへと構造的に変化した証左と言えるでしょう。
鳥貴族の通期予想は据え置き|逃れられないコスト増
第1四半期でこれほどの好スタートを切りながら、会社側は通期の利益目標を「据え置き(変更なし)」としました。 通期の営業利益成長率は、わずか「+1.0%」にとどまる見通しです。
会社側は、これらのコスト増が下期の利益を圧迫すると分析しており、慎重な姿勢を崩していません。
- 食材原価の高止まり
- 人件費の実質的上昇
- エ海外事業への先行投資
- ネルギーコストの負担増(備長炭ではなく電気焼きでも)
これは弱気な姿勢ではなく、「今後もコストが下がる可能性はない」冷徹な現実認識に基づいています。
結論:値上げに踏み切れない飲食店は持続できない
今回の決算が証明したのは、「コストを適切に価格へ転嫁できた店舗だけが、事業を継続できる」という冷厳な事実です。
安さを維持して消耗戦を選び、品質や雇用を犠牲にするか。 それとも、適正価格で利益を出し、品質とブランドを守り抜くか。
鳥貴族は後者を選び、結果を出しました。 コストが下がる見込みがない以上、品質維持のための価格改定は、もはや経営者の「わがまま」ではなく、企業の存続と責任を果たすための「正義」と言えるでしょう。
補足:鳥貴族だけでない|継続する値上げ構造
最新の消費者物価指数(CPI)等のデータが示す通り、飲食業界を取り巻くコスト環境は「高止まり」ではなく「上昇基調」にあります。
- 食材原価の構造的高騰
- コメ類(+40%超)、鶏肉、鶏卵など主要食材の高騰は継続しています。円安基調や気候変動、海外需要(バイオ燃料等)の影響により、これらが以前の水準に戻るシナリオは描けません。特に食用油については、年明けからの再値上げが不可避な情勢であり、現場の苦境は続きます。
- 人件費の更なる上昇
- 10月の最低賃金改定の影響は、第2四半期以降に本格化します。労働需給の逼迫は構造的であり、人材確保の面から人件費は今後も上昇の一途を辿ります。
- サービス価格の上昇
- CPIにおいて「サービス価格」が上昇傾向にあるファクトは、インフレがモノからヒト(賃金)へ転嫁され始めたことを意味します。今後も大手メーカーを主軸に人件費は上昇の一途を辿ります。それらは価格に転嫁され、飲食店を直撃します。

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