はじめに|THE ALFEE(アルフィー)春ツアー2026 大阪公演レポート
THE ALFEE春ツアー「Spring Celebration 2026 Moonlight Rhapsody」、大阪フェスティバルホールに参戦してきた。デビュー50年を境に、本当にチケットが取れなくなった。ここ数年は年に一回参戦できるかどうか、という状況だ。
そんな思いをよそに、開演とともに右腕を高々と突き上げながら高見沢俊彦が登場。いつもの動きから1曲目が始まった。3年ぶりの新アルバム「君が生きる意味」発売後のツアーということもあり、新旧楽曲の融合が余すことなく楽しめた。音楽的な解説は他にあるので、ここでは筆者の個人的な見解と解釈を書いていく。
良かったら最後まで読んでほしい。
この記事でわかること
- THE ALFEE 2026春ツアー大阪公演(5/30 フェスティバルホール)のセットリスト(ネタバレ)と全曲レビュー
- 最新アルバム「君が生きる意味」の新曲(疾風怒濤、孤独の太陽 ほか)のライブでの聴きどころ
- MC・幕間・アンコール(笑点ボーイズ)の様子と、52年目/3012本目を迎えた3人の現在
THE ALFEE春ツアー2026で刺さった曲(1)
本ツアーのセットリストは、2025年12月発売の最新アルバム「君が生きる意味」の新曲群と、80年代の代表曲を大胆に往復する構成になっている。ここでは特に心に刺さった楽曲を、前後半に分けて掘り下げていく。
その前に、この日の数字に触れておきたい。52年目で3012本目という、途方もないライブの上に立つステージである。高見沢の誕生日にあたる4月17日の東京ガーデンシアター公演で、コンサート本数はバンド史上最多の3000本に到達した。その大台を越えてなお、勢いはまったく衰えない。ちなみに筆者の初参戦は1989年のTHE ALFEE with Jean Paul GAULTIER(4/14 大阪城ホールと記憶している)。その後ブランクがあり、1998年「Nouvelle Vague」のツアーから継続して観てきたが、2024年のデビュー50周年イヤーはついにチケットが全滅だった。
HEART OF RAINBOW
1曲目は2025年のシングル「HEART OF RAINBOW」。ALFEEのすべてが詰まった曲だ。ここ数年と同じくインパクトのあるイントロ、ギター、激しさ、そして3声のコーラス。歌詞の世界観もまぎれもなくALFEEなのだが、何より桜井賢の声が若い。歌詞も、いまの3人にふさわしいものになっている。今の日本でこれを歌えるのは彼らだけだと思える、開幕にふさわしい1曲だった。
ここから「メリーアン」へ。今回は歌いだしがアコースティックな3声コーラスから入る編曲で、定番曲に新鮮な表情を与えていた。
YOU GET TO RUN
この曲には鳥肌が立った。1989年の映画「将軍家光の乱心 激突」の挿入歌(ファイティングテーマ)だが、当時これを劇場まで観に行ったあのころへ——彼らの衰えぬ声と演奏で、一気に40年近く引き戻された。
めったにやらない曲だからこそ、脳が激しく震えた気がする。桜井のハードでありながら安定したロックな歌声と、空間を突き抜けるような高見沢のハイトーン。普段は封印されている1曲が放つ熱量は、定番曲とはまったく別種のものだった。
続く「Stand Up, Baby -愛こそすべて-」は、YOU GET TO RUNからの流れを受けた同年代の曲。ここでも高見沢の凄みが伝わる。こんなアップテンポな曲を、走り回りながら歌うのだ。5年前と比較しても運動量が変わらないように見えた。もっとも、それは「高見沢比」での話であって、72歳の年齢で考えれば化け物級だ。途中でマイクスタンドが絡んだのか、調整しようとするスタッフとの掛け合いがお茶目で、会場が和んだ。
希望の鐘が鳴る朝に
10分間の休憩を挟んだ後の再開1曲目。1999年リリースのシングルだが、この曲でも一気に当時の空気へ脳内がトリップした。アルバム版「HEART OF RAINBOW」と同じく希望を歌う曲だが、肌触りが違う。「HEART OF RAINBOW」が72歳の彼らによる、ど真ん中でストレートな希望の提示だとすれば、「希望の鐘が鳴る朝に」は、もっと美しく、希望の朝そのものを感じさせる。20代の当時はそれほど響かなかったのに、今聴くと本当に素敵な曲だと思える。今の自分には、染みる。
MCでは、ミュージックビデオ撮影時のエピソードが語られた。高いビルの上にセットを組んだのだが、高いところが苦手な桜井が恐々としながらこなしていたという。
君に逢ったのはいつだろう
この曲も1992年へ一気に引き戻してくれた。リリース当時は大学生。フジテレビのイベント「最後の恐竜王国」のテーマソングだったのだが、なぜ恐竜のテーマがこれ?と当時はピンとこなかった。それが今聴くと、深く響く。
高見沢、歌唱力がレベルアップしているのではないか。とてもロマンティックな世界観に浸れる。MCで本人が語っていたが、これは30代のころに作った曲だという。それを72歳になってクオリティを落とさず、こんなにもメロディアスに歌い上げてしまう。願わくは、「Ism」の世界観に「Berlin Calling」を混ぜたようなソロアルバムを出してくれないものか。
君が生きる意味
近年の高見沢の最高傑作かもしれない。新アルバムのタイトル曲であり、聴き込むほどに魂に訴えかけてくる。
「生きる」ということを、まっすぐに歌う。何歳になっても父と母の愛は確かに存在した、だから君がここにいる、どんな境遇でも大丈夫、意味はある、だから生きろ——20年前のALFEEであれば、相当に説教くさくなっていたであろうテーマを、こんなにも胸を打つかたちで世に出してくる。最後に高見沢が歌い上げるところで、しびれた。

THE ALFEE春ツアー2026で刺さった曲(2)
後半は、最新アルバムから「現代の毒」と人間の感情を歌い上げる2曲。聴いている間は頭が真っ白になるくらいの迫力で畳みかけられた。
疾風怒濤 – Mind Riot –
1990年代からMacを所有し、ファンサイトを運営していた高見沢。Macファン向けの媒体に連載を持つほど、PCやデジタルに対する造詣が深い。だからこそ、この曲には説得力がある。
SNSの波が容赦なく押し寄せ、それに翻弄されつつも抗い、突き上げる自己の欲求を歌い上げる。タイムラインを流れる情報も、己を突き上げる感情も、まさに疾風怒濤の勢いで混濁しながら向かい合う。これを誰に歌わせれば効果的か——ギター演奏まで含めて、すべて計算して世に出せる。脱帽するほかない。
孤独の太陽
この曲も神の領域だった。前曲からの流れが、怒涛の勢いでなだれ込む。息をつく間も与えない。時間を忘れて、頭も真っ白で聴き入った。
灰色の空、高層ビル、無機質な街、摩天楼。そんな殺伐とした現代の情景に、黒い薔薇、虚飾の仮面、錆びた刃、翼の折れた天使が混ざり合う。ヒリヒリした焦燥感。なにこれ、最高だ——としか言いようがない。
THE ALFEE春ツアー2026の感想|「ペア」で効くセトリの妙
今回のセットリストは、所々に「セット」「ペア」となる曲の配置が目立った。これが構成上の大きな妙味になっている。
「メリーアン」&「星空のディスタンス」は、ALFEEの良さが詰まった代表曲のペア。とくに「星空のディスタンス」はライブでは定番すぎる曲だが、1年ぶりとなると話は違う。次はいつチケットが取れるのか——それを考えると、とても聞き流す気にはなれない。高見沢が左右にジャンプしながらギターを弾く。かなり鍛えているのだろう、並の体幹ではできない動きだ。
「YOU GET TO RUN」&「Stand Up, Baby -愛こそすべて-」は、87〜89年の、勢いがあった時代を呼び起こすペア。
そして「月光譚 – Moonlight Rhapsody -」&「Nouvelle Vague」は、まさに神セット。セットで聴くとたまらない。世界観にどんどん引き込まれていく。「Nouvelle Vague」はベルサイユ革命をもろに歌い上げているが、「月光譚」はそのベルサイユの世界観から出発し、失恋を通じて人間が視野を広げ、未来へ突き進む応援歌へと着地する。フランス革命のなかでALFEEの演奏技術が冴えわたる、他では再現もできない2曲だ。単一テーマの曲もよいが、複雑な要素を一つの世界にまとめあげるところに、熟練を感じる。
そして前述の「疾風怒濤 – Mind Riot -」&「孤独の太陽」。最新アルバムから、現代の毒と人間の感情を歌い上げるこのペアで、本編は一気にクライマックスへ向かった。
THE ALFEE春ツアー2026の感想|MC・幕間・丁寧言葉Death!
ALFEEのライブの魅力の半分は、MCにあると言ってもいい。
まず、10分間の休憩というシステム。記憶では15年ほど前に一度取り入れたこともあったが、個人的にはとても良い試みだと思う。ぜひ定着させてほしい。(定着したかな?)ALFEEの体力という事情もあるのかもしれないが、観客側から考えてもベストだ。幕間に序盤の楽しさや、それぞれの目で見た感想をシェアしつつ、再開への期待を高められる。これは本当に良いと感じた。
グッズ紹介のMCでは、坂崎の恒例の問いかけ「ツアー初参加の人!」に、驚くほど多くの人が挙手した。これには本当に驚いた。チケットが取れないはずだ……。2000年代のはじめ、地方では客席が埋まらず黒い幕で隠していたころが嘘のようだ。今回のツアーでも新規が確実に増えている。とはいえ、古くからの馴染みの顔がライブ会場に集まるのも楽しみの一つではある。
高見沢のMCでは、NHK「SONGS」出演の話題に。世間での評判として「真ん中が歌うトンチキな歌」と言われる、デスメタル調の「丁寧言葉Death!」のこと。初めてALFEEを知る人から「歌詞はトンチキだけど、曲はいいよね」「コレステロールの歌」などと、Xで認知されているらしい。実際、歌詞には「コレステロールは気にしないで! 血圧高めでヘドバンDeath!」という一節がある。この振り幅こそがALFEEだ。
そして、いつ聴いても衰えない。見た目も含めて「いつの、何年のツアーに自分は参加しているのか分からなくなる」——そんな感覚に何度も襲われた。とくに、久々に聴いた「YOU GET TO RUN」で、それを強く感じた。
アンコール|コントと「変わらないもの」
本編が終わると、アンコールはお約束のコントから。今回は「笑点」にひっかけた出し物「笑点ボーイズ」だった。
正直に書くと、筆者は関西人なので、コント自体は別にいいかな、という感じではある。それでも、彼らの関係性や人間性に振れることができるので、温かい気持ちで見ている。せいぜい3〜4回クスッとして、1〜2回爆笑するくらいか……あれ、結構笑っているじゃないか。
そこからは怒涛だ。3000本ギターを提げての「ロックンロール・ナイトショー」、ソロが復活した「鋼鉄の巨人」、「Flower Revolution」(各曲の所感は後述の一行レビューに譲る)。とりわけ「鋼鉄の巨人」には胸が熱くなった。50年を機に高見沢のソロが復活し、その時限りかと思いきや、以降はこのバージョンに戻っている。残り時間を燃焼させる、彼の覚悟なのかもしれない。
ダブルアンコールは「Going My Way」。最後のMCで、高見沢はこんなことを語った。52年目、3012本のライブを重ねてきて、音楽はずいぶんと変わった。レコードからCD、そして配信へ。音楽はスマホの中にあるけれど、俺たちは変わらず11トントラック5台に機材を積んで、ツアーを続けている——。これにも共感したし、痺れた。
高見沢が「贔屓目に見てすごいよね?」とMCで笑いながら語っていたが、贔屓目でなく、普通にすごい。
THE ALFEE(アルフィー)に寄せる想い
素晴らしかった、の一言に尽きる。
それにしても、この日の高見沢は力強い印象だった。随所で見せたガッツポーズは、「まだまだやれる」という自信の表れだろう。こんなに力強いガッツポーズができる70代は、高見沢のほかにはトランプ氏くらいしかいないのではないか、とすら思えた。
ALFEEのライブには、不思議な時間感覚がある。80年代の曲を聴けば当時に引き戻され、最新アルバムの曲を聴けば「今この瞬間」を突きつけられる。新旧が同じステージの上でまったく古びずに並ぶ。「いつの、何年のツアーに自分は参加しているのか分からない」というあの感覚は、52年積み上げてきた彼らだからこそ生み出せるものだ。
「My Life Goes On」のMCにも触れておきたい。この曲も今のTHE ALFEEにしか歌えない。日常の情景描写から、気付けば世界平和を歌っている。坂崎の個性を打ち出しながら、実は高見沢の人生観がにじみ出る——そんな構造の曲だ。
器がレコードからCD、配信へと移り変わっても、変わらず全国を回り続ける。その姿勢こそが、THE ALFEEというバンドの正体なのだと思う。次にチケットが取れるのがいつになるかは分からないが、その日を、また心待ちにしている。
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THE ALFEE 2026 大阪 セットリスト(ネタバレ)|全曲一行レビュー
せっかくなので、当日の演奏順に沿って一曲ずつ短く所感を残しておく。本編で語りきれなかった曲も、ここで拾っておきたい。
- HEART OF RAINBOW — ALFEEのすべてが詰まった曲。ここ数年と同じくインパクトのあるイントロ、激しさ、3声のコーラス。桜井の声が若く、歌詞も今の3人にふさわしい。今の日本でこれを歌えるのは彼らだけ。
- メリーアン — 今回は歌いだしがアコースティックな3声コーラスから入る編曲で、定番に新鮮な表情を与えていた。この流れから力強い本編への移行は素晴らしい。
- 星空のディスタンス — 代表曲。定番すぎる曲だが、1年ぶりとなれば話は違う。高見沢が左右にジャンプしながらギターを弾く。並の体幹ではできない動き。次はいつチケットが取れるのか——そう考えると聞き流せない。
- 恋の炎 — 畳みかける王道ロックチューン。序盤の熱を一段押し上げるこの流れ。
- YOU GET TO RUN — 1989年の映画「将軍家光の乱心 激突」の挿入歌。当時劇場で観たあのころへ、衰えぬ声と演奏で一気に40年近く引き戻される。めったにやらない曲だからこそ、脳が激しく震えた。
- Stand Up, Baby -愛こすべて- — YOU GET TO RUNからの流れを受けた同年代の曲。こんなアップテンポな曲を走り回りながら歌う。5年前と同じ運動量に見えるが、72歳で考えれば化け物級。
- ——幕間(10分休憩)。15年ほど前に一度あったシステム。観客の年齢構成を考えてもベスト。ぜひ定着を。
- 希望の鐘が鳴る朝に — 1999年リリースのシングル。この曲でも一気に当時の空気へ脳内がトリップ。HEART OF RAINBOWが72歳による希望の提示なら、こちらは希望の「朝」そのものの美しさ。20代の当時は響かなかったのに、今聴くと本当に素敵。今の自分に染みる。
- ——MC 坂崎(物販)。「ツアー初参加の人!」に驚くほどの挙手。チケットが取れないはずだ。
- My Life Goes On — 日常の情景描写から気付けば世界平和を歌う。坂崎の個性を打ち出しながら、実は高見沢の人生観がにじみ出る。今のALFEEにしか歌えない曲。
- 君に逢ったのはいつだろう — 1992年へ一気に引き戻される。フジテレビ「最後の恐竜王国」のテーマだが、当時はピンとこなかった。今聴くと深く響く。高見沢の歌唱力がレベルアップしているのでは。とてもロマンティックな世界観に浸れる。
- ——MC 高見沢。NHK「SONGS」と「丁寧言葉Death!」の話。「コレステロールの歌」としてXで認知されているらしい。
- 月光譚 – Moonlight Rhapsody – — ツアータイトル曲。ベルサイユ革命の世界観から出発し、失恋を経て人間が視野を広げ、未来へ突き進む応援歌へ着地。Nouvelle Vagueとの神セット。世界観にどんどん引き込まれていく。
- Nouvelle Vague — ベルサイユ革命をもろに歌い上げる。月光譚との組み合わせで、フランス革命の中でALFEEの演奏技術が冴えわたる。他では再現もできない流れ。複雑な要素を一つの世界にまとめあげる熟練を感じる。
- 疾風怒濤 – Mind Riot – — 1990年代からMacを所有しファンサイトを運営していた高見沢だからこその説得力。SNSの波が容赦なく押し寄せ、それに翻弄されつつも抗い、突き上げる自己の欲求を歌い上げる。タイムラインの情報と己の感情が疾風怒濤の勢いで混濁。ギター演奏まで含め、すべてが計算されている。
- 孤独の太陽 — 神の領域。前曲からの流れが怒涛の勢いでなだれ込む。息をつく間も与えない。灰色の空、摩天楼といった殺伐とした現代の情景に、黒い薔薇、虚飾の仮面、翼の折れた天使が混ざり合う。ヒリヒリした焦燥感。最高。
- 君が生きる意味 — 新アルバムのタイトル曲にして、聴き込むほどに魂に訴えかける。「生きる」ということをまっすぐに歌う。何歳になっても父と母の愛は確かに存在した。だから君がここにいる。どんな境遇でも大丈夫。近年の高見沢の最高傑作かもしれない。
アンコール #1
- 笑点ボーイズ — 「笑点」ネタの恒例コント。関西人としては正直ほどほど……のはずが、結構笑っている。彼らの関係性と人間性に触れられるので温かい気持ちで見ている。
- ロックンロール・ナイトショー — 3000本ギターが登場。2005年の2000本ライブで作ったギターの3000本版。ツアー各地で歓声が上がった。
- 鋼鉄の巨人 — 最高の曲。50年を機に高見沢のソロが復活し、その時限りかと思いきや、以降はこのバージョンに戻っている。残り時間を燃焼させる、彼の覚悟なのかもしれない。
- Flower Revolution — 大阪のお約束。銀テープが舞い、ギターを抱えたまま両足をそろえて左右にジャンプしながら歌う。そんなことができる70代は、高見沢のほかにはいないだろう。
アンコール #2
- Going My Way — 直前のMC。52年目、3012本のライブを重ねてきて、音楽はレコード→CD→配信へと変わった。音楽はスマホの中にあるけれど、俺たちは変わらず11トントラック5台に機材を積んでツアーを続けている——この一言に、痺れた。
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