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gumi決算 本業赤字と株価1/3|失敗銘柄の現在地【2026年4月期】

gumi決算2026年4月期3Q|本業黒字復帰・暗号資産も順調

株式会社gumi(3903)が2026年6月12日に発表した2026年4月期通期決算(会計期間:2025年5月1日〜2026年4月30日)について。連結では暗号資産評価益に支えられ全段階利益で黒字を確保したものの、本業であるゲーム事業は通期営業赤字に沈み、株価は一時800円台をうかがった水準から240円台まで下落した。

同日には株価低迷を背景に第26回新株予約権(MSワラント)の取得・消却が決議されている。会計上の黒字と事業・株価の実態がどこまで乖離しているのか、需給を含めて整理する。

※本記事は投資判断の材料を提供するものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではない。最終的な投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。なお筆者はgumi株式を保有しており、その立場を開示したうえで記述している。

gumi|2026年4月期 通期決算の概要

通期の連結業績は、増収を確保したものの営業利益は前期比で大きく落ち込み、最終利益も減益となった。経常利益が増益で着地したのは、後述する暗号資産評価益の寄与による。

指標2026年4月期2025年4月期前期比
売上高9,183百万円8,942百万円+2.7%
営業利益83百万円370百万円△77.5%
営業利益率0.9%4.1%△3.2pt
経常利益2,170百万円2,103百万円+3.2%
親会社株主に帰属する当期純利益1,454百万円2,063百万円△29.5%
1株当たり当期純利益(EPS)28.46円43.50円
自己資本比率71.9%69.9%+2.0pt
営業キャッシュ・フロー△1,398百万円△881百万円流出拡大

2027年4月期の連結業績予想は「事業環境の変化が激しく適正かつ合理的な算出が困難」として非開示とされた。前期に続く非開示である。あわせて、2023年策定・2025年修正の中期経営計画(税引前利益の目標25億〜40億円)に対し、通期実績は15.2億円にとどまり、達成率は約47%(目標レンジ中央値を100%とした場合)と大幅な未達で着地した。

会社は未達要因として、ゲーム事業の受託案件未獲得と新規タイトルの収益貢献が想定を下回ったこと。ブロックチェーン等事業の協業タイトル不振とアセットマネジメントの収益化遅れを挙げている。

増収はしたが、営業利益率は4.1%から0.9%へ低下した。後述するとおり、連結営業利益の黒字は事実上ブロックチェーン等事業に依存しており、本業のゲーム事業単体では赤字である。経常利益の増益も、その大半が暗号資産の評価益という非現金の損益に支えられている点を、まず押さえておく必要がある。

参照:gumi|2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 参照:gumi|2026年4月期 決算説明資料

gumi 通期決算|3つのネガティブ要因

表面的な黒字の内側には、前回の決算で見えていた構図を覆す数字が並ぶ。ここでは会社側の説明と筆者の見立てを分けながら、3つの懸念を指摘する。

本業ゲーム事業の営業赤字拡大とQ4の赤字逆戻り

モバイルゲーム事業は、売上高7,006百万円(前期比8.6%増)と増収だったものの、営業損失は△469百万円。前期の△119百万円から赤字幅が拡大した。会社側は、主力『ジョジョの奇妙な冒険 オラオラオーバードライブ』の配信前後におけるプロモーション強化に伴う一時的な広告宣伝費の増加が要因と説明している。

筆者の見立てとしては、四半期の推移がこの説明だけでは収まらない問題を映している。第3四半期に営業黒字(+293百万円)へ転換したものの、第4四半期は再び営業赤字(△47百万円)へ逆戻りした。

Q4は『オラドラ』のハーフアニバーサリーで広告を投下したが売上が想定を下回り、売上高はQ3比で631百万円減少している。広告を打てば赤字になり、広告を止めれば売上が落ちる——前回の決算で示された「単体での営業黒字化=本業の自走」という見立ては、通期とQ4の数字によって部分的に否定された。一過性ではなく、収益化と販促コストのバランスという構造的な課題として扱うべき局面である。

利益の質——暗号資産評価益への依存と営業CFの連続マイナス

経常利益2,170百万円のうち、暗号資産評価益が2,632百万円を占める。単純化すれば、この評価益を除いた本業ベースの経常損益はマイナス水準であり、連結の黒字は市況に依存した会計上の利益という色彩が濃い。

その性質は、キャッシュ・フローと突き合わせると一段と鮮明になる。営業CFは△1,398百万円と、前期の△881百万円からマイナス幅が拡大した。税金等調整前当期純利益1,524百万円が計上されていながら営業CFが流出超過なのは、評価益2,632百万円が現金を伴わない利益として戻され、さらに暗号資産の積み増しで1,999百万円が流出したためである。会計上の利益とキャッシュ創出力が逆方向を向いている典型であり、営業CFのマイナスは2期連続となった。

加えて、暗号資産の取得や運用を支える原資は、短期借入金(期末4,000百万円、前期2,000百万円から純増2,000百万円)と新株発行(ワラント行使による調達約15億円)に相応に依存している。借入と希薄化で暗号資産を買い増し、その評価益で会計上の黒字を確保するという循環は、XRPをはじめとする相場が反転すれば逆回転するリスクを内包している。これは計算可能リスク(市況変動の感応度)に分類される論点であり、保有暗号資産の規模が大きいほど決算数値の振れ幅も拡大する。

なお、連結では純利益1,454百万円だが、親会社単体では当期純損失△407百万円である。連結の黒字が、暗号資産関連の損益を取り込む子会社・関連会社側で成立している構図は、本業を担う本体の収益力という観点からは割り引いて見る必要がある。

株価3分の1・無配継続・カバレッジ消失と中計の大幅未達

事業の数字以上に、株主価値の毀損は深刻である。株価は2025年6月に865円(当時の戻り高値)を付けた後に下落基調をたどり、2025年10月のワラント発行を経て一段と水準を切り下げた。2026年6月11日には年初来安値244円を更新し、決算発表日12日の終値は242円。2024年8月に付けた10年来安値236円に接近する水準である。

一時800円台をうかがった株価は、ほぼ3分の1まで沈んだ計算になる。配当は前期・当期とも無配が継続し、証券会社によるアナリストのレーティング・目標株価のカバレッジも確認できない状態にある。

株価・需給スナップショット値(取得時点)
終値242円(2026/6/12終値、15分ディレイ)
時価総額約130億円
PBR(実績)約0.63倍
BPS(実績・連結)384.47円
ROE(実績・自己資本当期純利益率)7.8%
配当無配
年初来高値/安値407円(26/1/14)/244円(26/6/11)
10年来高値/安値1,685円(17/7/19)/236円(24/8/5)
信用買残/売残/倍率(参考)約615万株/約175万株/約3.5倍(26/3/6時点)
アナリストレーティングカバレッジなし

会社側は予想非開示の理由を事業環境の不確実性に求めている。一方の筆者の見立てとしては、配信時期を2026年内と明示した大型IPを複数抱える局面で全段階の数値を示せない姿勢は、計画の不確実性の高さを会社自身が織り込んでいるとも読める。

需給面では、信用倍率が約3.5倍と買い長に大きく傾いており、下落途中で買い向かった信用買い残が戻り局面での売り圧力として残存している。逆日歩が発生するような踏み上げ余地は乏しく、「売り残が多いから上がる」という構図ではない。

ワラント消却で将来の供給増という重石は一つ外れるが、滞留する信用買い残という別の重石が残っている点は冷静に見ておきたい。

gumi 通期決算|4つのポジティブ要因

数字の見た目こそ厳しいが、財務の頑健さと資本政策の転換、事業再編の方向性には評価できる点がある。ここでは前向きに捉えられる4つの側面を整理する。

ブロックチェーン等事業の営業黒字と暗号資産トレジャリーの寄与

ブロックチェーン等事業は、売上高2,177百万円(前期比12.5%減)ながら営業利益552百万円(前期比12.8%増)を計上し、セグメント単独では増益で着地した。ゲーム配信やトークン受領を中心とするエンターテイメント領域が暗号資産の価格上昇を取り込み、利益を牽引した格好である。連結営業利益83百万円という薄い黒字は、このセグメントの黒字がゲーム事業の赤字を埋め合わせた結果として成立している。

加えて営業外では暗号資産評価益2,632百万円(前期2,024百万円)が計上され、経常利益2,170百万円を押し上げた。暗号資産を投資対象ではなく「事業資産」と位置づけるトレジャリー戦略が、営業外の利益底上げに機能した一年であったことは事実である。

第26回新株予約権の取得・消却による希薄化懸念の解消

前回までの最大の重石であったMSワラントの未消化問題に、会社が一区切りをつけた。2025年10月に成長投資と借入金返済を目的に発行された第26回新株予約権(行使価額修正条項付)について、6月12日の取締役会で未行使分の全部を取得・消却することが決議された。発行総数1,070万株のうち、これまでに約436万株が行使され約15億円を調達。残る約634万株分の潜在的な希薄化懸念が、今回の消却によって市場から取り除かれることになる。

株価が下限行使価額に近づいて行使が事実上止まり、割当先が市場で株を売却して調達するメリットを失ったことが背景にある。裏を返せば「これ以上の低株価では新株予約権による調達が機能しない」という資本政策上の限界を会社自身が認めた決定でもあるが、既存株主にとっては将来の供給増という上値の重石が一つ消える意味は小さくない。

自己資本比率71.9%の財務基盤

新株予約権の行使に伴う資本の増加もあり、純資産は22,134百万円まで拡大し、自己資本比率は71.9%(前期69.9%)に達した。浮き沈みの激しいゲーム業界において高水準の財務健全性であることは間違いない。

ただし、流動資産20,443百万円のうち暗号資産が14,133百万円を占める構成であり、純資産の厚みの相当部分が値動きの荒い暗号資産で構成されている点には留意が必要である(この論点は後述する)。

XRP一本化とSBI連携による事業再編、IPパイプライン

会社は2027年4月期より報告セグメントを「ネオメディアエンタメ事業」「ネオクリプト事業」へ再編することを決議した。SBIグループの構想に沿い、ネオクリプト事業では保有暗号資産をXRPへ集約。

カバードコール等のオプション取引による積極運用へ移行する方針を掲げる。グループ(ファンド含む)の保有・運用暗号資産は260億円規模に達しており、運用の高度化が進めば収益源の多様化につながり得る。

ネオメディアエンタメ事業では、自社ゲームエンジンと他社有力IPを組み合わせるモデルを横展開し、『僕のヒーローアカデミア UNITED SURVIVAL』を含む大型IPタイトル4本を開発中で、2026年内の配信を予定する。新作の収益寄与が読める段階に入れば、ゲーム事業の赤字構造を見直す契機になる可能性はある。

クロス比較|3か年・四半期・セグメントで構造を分解する

単年の損益だけでは実態を捉えにくいため、時系列とセグメントで分解する。まず通期の3か年推移と、2026年4月期の四半期推移を並べる。

四半期(2026年4月期、百万円)Q1Q2Q3Q4通期
売上高1,3542,4962,9822,3519,183
営業利益72△235293△4783
営業利益率5.4%△9.4%9.8%△2.0%0.9%
経常利益1,2342674701972,170
税引前利益1,270203469△4191,524
親会社株主帰属四半期純利益1,247103496△3931,454
通期推移(百万円)2024年4月期2025年4月期2026年4月期
売上高12,0668,9429,183
営業利益大幅な営業損失37083
経常利益2,1032,170
税引前利益2,4671,524

時系列が示す「営業利益の薄さ」と「評価益依存の常態化」

時系列で見ると、売上は2024年4月期の12,066百万円から構造改革で規模を縮小し、ここ2期は9,000百万円前後で下げ止まっている。問題は営業利益で、2025年4月期370百万円、2026年4月期83百万円と、増収に反して縮小した。粗利率は構造改革(不採算タイトル撤退・運営移管・子会社譲渡)によって23.4%から31.3%へ改善。

しかしながら、販売費及び一般管理費が前期比62.5%増の2,793百万円へ膨らんだため、営業段階では利益が削られた。粗利率の改善が事業の地力というより規模縮小の裏返しであり、その効果が広告宣伝費の増加で相殺された一年であった。

経常利益は2期連続で2,000百万円超を確保しているが、その押し上げ役は暗号資産評価益(2025年4月期2,024百万円、2026年4月期2,632百万円)である。評価益が経常利益を恒常的に支える構造が定着しており、これは前述した利益の質の論点と表裏一体である。四半期で見ても、経常利益はQ1の暗号資産評価益(1,094百万円)が通期を牽引した。

セグメント分解——黒字はブロックチェーン、赤字はゲーム

セグメント(2026年4月期)売上高前期比営業損益前期営業損益
モバイルオンラインゲーム事業7,006百万円+8.6%△469百万円△119百万円
ブロックチェーン等事業2,177百万円△12.5%+552百万円+12.8%(増益)

セグメントで分解すると、連結営業利益83百万円の正体が明確になる。営業赤字のゲーム事業(△469百万円)を、ブロックチェーン等事業の黒字(+552百万円)が補って、辛うじて連結を黒字圏に乗せている構図である。さらにブロックチェーン等事業の内部でも、暗号資産を受領するエンターテイメント領域が経常黒字を牽引する。

一方、ノード運営・アセットマネジメント領域は市況変動の影響で経常損失、ファンド等の投資領域も持分法による投資損失で経常損失となっており、収益源は暗号資産の値上がりに集中している。

gumiは「ゲーム×暗号資産」のハイブリッドであり、純然たる同業との横並べが難しい。だからこそ、外形のPERや利益額ではなく、収益性・資産効率・財務レバレッジの3つの観点で内部構造を見ることが有効である。

収益性は本業(ゲーム)が赤字で暗号資産頼み、資産効率は総資産の約半分を占める暗号資産の評価次第、財務レバレッジは自己資本比率71.9%と健全だが短期借入で運用資産を積む構図— この3点を踏まえると、PBR0.63倍は単純な「割安」ではなく、純資産の中身が市況連動の暗号資産に偏っていることへのディスカウントと解釈するのが妥当である。

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筆者の見解|gumiの通期決算から見えた現在地

筆者はgumi株式を保有する立場であり、その前提で率直に記す。前回の決算では、第3四半期単体の営業黒字化を「本業の自走能力の証明」と評価した。しかし通期の数字は、その見立てを修正することを求めている。第4四半期で営業赤字に逆戻りし、ゲーム事業は通期で赤字幅を拡大、本体単体も最終赤字、営業CFは2期連続のマイナスとなった。連結の黒字は暗号資産評価益という非現金・市況依存の利益が支えており、本業が自力で現金を生み出す段階には至っていないと判断せざるを得ない。

一方で、すべてが悪材料というわけではない。自己資本比率71.9%という財務の厚みは、相場が崩れても直ちに資金繰りに窮する企業ではないことを示す。ワラントの取得・消却は遅きに失した感はあるものの、634万株分の希薄化懸念を取り除く前向きな決断ではある。

XRPへの集約とオプション運用、SBIとの連携、2026年内の大型IP配信という再編の道筋も描かれている。問題は、それらが暗号資産相場という外部要因への依存度をむしろ高める方向に作用しかねない点にある。事業の選択と集中が、リスクの分散ではなく集中になっていないか——ここが評価の分かれ目になる。

「失敗銘柄」と切って捨てるのは早計だが、株価が3分の1になり、中期計画を約47%しか達成できていない。さらに、無配が続く現状を「再生途上」と美化するのも誠実ではない。事業の方向性に賭ける投資家にとっても、当面は会計上の黒字ではなく、本業の現金創出力と暗号資産運用の実需が数字に表れるかを、厳しい目で確認し続ける局面である。

最後に、この会社は2026年4月期第2四半期決算説明以降、AIを使用した動画を配信している。個人的な意見だが、決算説明くらい、最初から最後まで経営者の生の言葉で発信できないのか?しかも、ゲーム開発の会社がこの程度のクオリティの動画を出すとは…。筆者は動画を見てから同社への投資スタンスを変えた。個人的な見解だが、前向きには応援できなくなった。

まとめ|会計上の黒字ではなく「現金」と「本業」を見る四半期へ

2026年4月期のgumiは、暗号資産評価益によって全段階利益の黒字を確保し、自己資本比率を高め、ワラントの希薄化懸念を解消した。財務の守りと資本政策の整理という点では前進があった一年と言える。しかしその裏で、本業のゲーム事業は営業赤字を拡大し、営業キャッシュ・フローは2期連続で流出超過となった。

中期計画は大幅未達に終わり、株価は10年来安値圏に沈んだ。光は財務と資本政策に、影は本業の収益力と利益の質に、それぞれ宿っている。

次の四半期以降に注視すべき指標は二つに絞られる。第一に、本業の現金創出力——営業キャッシュ・フローがプラスへ転換するか、あるいは評価益を除いたベースで経常損益が改善するか。第二に、暗号資産運用の実需——XRPへの集約とカバードコール運用が、評価益だけでなくステーキング報酬等の継続収益(運用益)として数字に表れるか。

この2点が確認できれば、株価が会社の言う「基盤確立」を織り込み始める余地が出てくる。

想定カタリスト暦内容
2026年内大型IPタイトル(『僕のヒーローアカデミア UNITED SURVIVAL』ほか)の配信開始予定
2027年4月期 第1四半期新セグメント(ネオメディアエンタメ/ネオクリプト)基準での開示開始
各四半期暗号資産評価益と営業CFの方向、XRP取得進捗(目標25億円規模)の確認
通期業績予想開示の再開有無(2期連続の非開示が継続するか)

会計上の評価益が積み上がること自体は、投資家が最終的に求める価値ではない。本業から生み出される現金と、運用資産が生む継続収益が伴って初めて、株価の重石は外れていく。当面は甘い期待を排し、数字でその裏づけが示されるのを待つ局面である。

参照:gumi|2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 参照:gumi|2026年4月期 決算説明資料

✅ 本記事は公開情報をもとに筆者が作成したものであり、特定の有価証券の取得・売却を勧誘・推奨するものではありません。記載内容には誤りや将来予測の不確実性が含まれる可能性があり、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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