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gumi(3903)株価の今後|決算で経常損失20億円に失速

gumi(3903)株価の今後|決算で経常損失20億円に失速

gumi(3903)の株価の今後を左右する2027年4月期第1四半期決算が発表された。

gumi(3903)は経常損失2,018百万円を計上し、前年同期の1,234百万円の黒字から3,252百万円の悪化となった。売上高は前年同期比+20.2%の増収でありながら、営業・経常・純利益のすべてが赤字転落している。大型IP『ジョジョ』『ヒロアカ』の2枚看板を投入してなお本業は営業赤字を拡大。経常段階では暗号資産評価損が損益を押し下げた。

gumiの株価は年初来安値を更新しており、今後の展望を実額で検証する。

目次

売上は増収、利益は全段階で赤字転落した

gumi(3903)の2027年4月期第1四半期(2026年5〜7月)決算を、業績の実額で押さえる。増収でありながら全段階の利益が赤字化するという、損益構造の歪みが端的に表れた四半期であった。数字の落差の要因は、続く各節で分解する。

PLの段階損益

項目前年同期(25/5-7)当第1四半期(26/5-7)前年同期比
売上高1,354百万円1,628百万円+20.2%
売上総利益508百万円370百万円△27.1%
売上総利益率37.5%22.8%△14.7pt
営業利益+72百万円△186百万円赤字転落
経常利益+1,234百万円△2,018百万円赤字転落
純利益+1,247百万円△1,868百万円赤字転落

出典:株式会社gumi 2027年4月期第1四半期決算短信

前四半期(26/4期Q4)比では、売上高が2,351百万円から1,628百万円へ△30.8%減少した。会社は減収の主因を『オラドラ』のハーフアニバーサリー施策終了に伴う反動減と説明している。増収は前年同期に『オラドラ』が未配信だった反動によるものであり、四半期単体の推移では明確に減速している。

経常損失20億円の15億円は暗号資産評価損である

gumi(3903)の決算では、営業損失△186百万円と経常損失△2,018百万円の落差1,832百万円を営業外費用が生んだ。この構造を分解すると、gumiの利益が本業ではなく暗号資産の時価に依存している実態が浮かぶ。詳細は営業外損益の項目別に後述する。

会社が同日開示した「営業外費用の計上に関するお知らせ」によれば、連結で1,537百万円の暗号資産評価損を営業外費用に計上している。経常損失20億円のうち約15億円は、ゲームでもファンドでもなく、保有暗号資産の時価下落が直接の原因である。前回記事で「XRP相場の変動が財務を直撃するハイリスク構造」と指摘した点が、そのまま損益に現れた。

セグメント別の営業損益

セグメント売上高セグメント営業損益
ネオメディアエンタメ事業1,111百万円△498百万円
ネオクリプト事業516百万円+311百万円

出典:同上、セグメント情報

金融(ネオクリプト事業)が営業段階で+311百万円を確保した一方、ゲーム本業(ネオメディアエンタメ事業)は△498百万円の営業赤字であった。

稼いだクリプト事業が、営業外で暗号資産評価損を抱え込み、全社を経常赤字へ引きずり込んだ。稼ぐ事業と損失の震源が同一であるという、トレジャリー戦略の構造的な脆さがそのまま出た四半期である。

『オラドラ』は会社予想を下回った

前回のgumi(3903)決算記事でポジティブサプライズとして描いた『オラドラ』の躍動は、今回の会社資料によって明確に下方修正された。会社側の説明と筆者の見立てを分けて記す。

会社側の説明

決算説明資料のエグゼクティブサマリーは、業績概要を「主力タイトル『オラドラ』の伸び悩みに加え、主に暗号資産の評価損約15億円の計上により大幅減益」と記す。会社自身が「伸び悩み」という表現を用いた。決算短信本文も、営業減益の理由として『オラドラ』の売上高が想定を下回ったことを挙げている。想定割れは市場の観測ではなく、会社の自認である。

筆者の見立て

ネオメディアエンタメ事業のセグメント営業損失は、前年同期の△190百万円から△498百万円へ、赤字幅を約2.6倍に拡大させた。

売上総利益率は37.5%から22.8%へ14.7pt低下している。増収でありながら粗利率がこれだけ削られる構造は、課金売上が開発・運営コストを回収できていないことを意味する。強力なIPを投じても、ゲーム単体で現金を稼ぐ力を示せていない。

『ヒロサバ』は8月6日に世界同時配信され、全世界100万ダウンロードを突破したと開示されている。ただしダウンロード数は課金売上ではない。本格貢献はQ2以降とされ、現時点では先行開発費というコストのみが計上された状態にある。回復の裏づけとなる数字は、現四半期には存在しない。

前年同期の評価益は消え、評価損に反転した

gumi(3903)の今期決算を最も端的に語るのは営業外損益である。前年同期との対比で、gumiの利益が暗号資産市況に握られている実態が明確になる。

営業外の項目前年同期(25/5-7)当第1四半期(26/5-7)
暗号資産評価益+1,094百万円―(消失)
暗号資産売却益+129百万円―(消失)
暗号資産評価損―(無し)△1,537百万円(新出)
暗号資産売却損―(無し)△153百万円(新出)
持分法による投資損失△78百万円△187百万円
営業外収益合計1,287百万円83百万円
営業外費用合計125百万円1,914百万円

出典:同決算短信 損益計算書より筆者作成

前年同期に経常黒字を支えた評価益+1,094百万円と売却益+129百万円は、今期資料から消えた。

代わりに評価損△1,537百万円と売却損△153百万円が現れた。プラスがそのままマイナスに反転している。持分法投資損失も△78百万円から△187百万円へ悪化した。gumiの経常利益は本業の実力ではなく、暗号資産の時価という統制外の変数で決まる。前回記事の懸念どおり、当四半期はその変数がマイナスに振れた。

保有暗号資産の8割に追加評価損の火種が残る

gumi(3903)の損失はまだ確定していない。

決算短信の後発事象に、追加評価損につながる注記がある。会社側の記述と、そこから読める含意を分けて示す。

保有暗号資産のうちFCT(貸借対照表価額7,986百万円、保有構成比60.0%)は、取引所MEXCで2026年8月14日に上場廃止となった。OSHI(同2,655百万円、構成比20.0%)も、BITPOINT(10月28日)、Gate.io(9月16日)、MEXC(9月12日見込)と複数取引所で上場廃止・廃止予定が公表されている。

会社は「活発な市場の有無を検討中」とし、活発な市場が存在しないと判断した場合は取得原価をもって計上額とし、処分見込価額が取得原価を下回れば評価損を計上する可能性があると注記している。保有暗号資産133億円のうち8割を占める2銘柄に、追加評価損の火種が残る。これは計算不可能リスクであり断定はしない。ただし「翌四半期以降の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある」と会社自身が明記している事実は、確認を要する水準である。

この2銘柄が仮に全額評価ゼロとなった場合の影響を試算する(筆者試算)。親会社株主に帰属する持分は18,979百万円(純資産合計20,330百万円から新株予約権662百万円・非支配株主持分688百万円を控除)。ここからFCT・OSHI合計10,643百万円を除くと8,337百万円となり、発行済株式数(自己株式なし)53,897,034株で除したBPSは約155円まで低下する。現行BPS352円からほぼ半減する水準である。

全額ゼロ評価となる確度は不明であり、これはあくまで下限側のシナリオ試算にとどまるが、保有暗号資産の8割がこの前提に晒されている事実は変わらない。

株価は年初来安値、第26回ワラントはズッコケ

gumi(3903)の資本イベントと需給の現状を整理する。前回記事で最大の重石とした第26回新株予約権(MSワラント)は前期に消却決議されたが、株価はその後さらに下げた。会社側の資料に前向きな記述はなく、需給の改善は確認できない。

株価は2026年9月14日終値で202円、年初来安値191円を同日更新した。9月11日の決算発表翌営業日には前日比△19.1%の急落を記録している。発行済株式数は53,901,034株、時価総額は約109億円。PBRは0.57倍で、純資産を大きく割り込む。BPS352円に対し株価202円という乖離は、市場が純資産の質――とりわけ暗号資産の評価を額面通りに信用していないことを示す。

信用取引では、9月4日時点で信用買残4,221,800株、信用売残949,200株、信用倍率4.45倍である。買い方に大きく傾いた需給であり、戻り局面では信用買いの投げが上値を抑える構造が残る。前期にワラントという重石が一つ消えても、株価が反発しなかった事実は、需給の問題が資本イベント単独では解消しないことを示している。

筆頭株主SBIは動けない、株価は年初来安値

gumi(3903)の株主構成を語る上で、筆頭株主SBIホールディングスの存在は避けて通れない。今期資料もSBIグループとの連携を随所で強調する。だが投資家が直視すべきは、その座組みが株価をまったく支えなかったという事実である。SBIの保有状況を実数で確認したうえで、その意味を評価する。

SBIは30%超を抱えたまま身動きが取れない

まず事実を押さえる。SBIホールディングスは2025年6月にSUPER STATE HOLDINGS(SPST)から650万株を取得し、保有比率を大きく引き上げた。2026年7月末時点の大株主構成では、SBI HDが30.54%、SPSTが6.29%を保有する。SBIは依然としてgumiの筆頭株主であり、普通株ベースの保有を減らしていない。

2026年1月には保有割合が41.99%から40.07%へ低下したと報告されたが、内訳を見れば普通株は16,460,087株で不変であり、減少分は第26回ワラントに紐づく潜在株(8,836,200株→7,676,200株)である。すなわちSBIは市場で株を売ったのではなく、ワラントの消滅によって見かけ上の比率が下がったにすぎない。

この事実は、gumiにとって救いではなく、むしろ深刻な含意を持つ。SBIの取得資金は変更報告書ベースで9,735百万円、対応する取得株数はおよそ1,646万株であり、これを基に平均取得単価を逆算すると約591円となる(筆者試算。複数回の取得を単純合算した概算値)。株価202円との差額から、含み損は概算で64億円規模にのぼる。にもかかわらず筆頭株主が30%超を保有し続けているのは、信認の証というより、大株主として売るに売れない拘束状態と読む余地がある。

取得単価の3分の1近くまで沈んだ株価を、30%超を握る筆頭株主が黙って抱え続けている。強力な資本の存在は、当四半期の株価にとって何ら支えにならなかった。

座組みの格と、株価の現実は別である

会社はSBIの「3大生態系」構想を受けてセグメント名称を変更。

8月1日には共同ファンド「SBI Crypto Fund I」を大和証券グループ本社を含む複数投資家の出資により始動させたと開示している。日本のWeb3銘柄の中で、これほどの金融プレイヤーを背後に置く企業は稀である。だが市場は「誰と組んでいるか」ではなく「いくら稼いだか」で価格をつける。ファンドの運用実績が具体的な損益として現れるまで、この座組みは期待値の代理にとどまり、株価の底を支える力を持たない。豪華な株主名簿は、年初来安値という現実の前で沈黙している。

売り逃げした経営陣|持ち株・大株主上位から消えた

gumi(3903)の株主に損失を強いる一方で、経営陣自身は株式をどう扱ったか。有価証券報告書の2期比較が、看過できない事実を示している。会社側は増減の理由を開示していないため、ここでは事実の提示と、そこから読める含意の切り分けにとどめる。

2025年4月期の有価証券報告書では、代表取締役社長の川本寛之氏が995,800株、取締役の本吉誠氏が778,600株を保有し、両名とも大株主上位10名に名を連ねていた。ところが2026年4月期の有価証券報告書では、大株主上位10名から両名の氏名が消えている。10位の野村信託銀行が325,900株であることから、両名の保有はこの水準を下回ったことになる。加えて、役員一覧の「所有株式数」欄は、川本氏・本吉氏ともに記載がない。

この1年で、社長の約99万株と取締役の約78万株の大半が減少した計算になる。同時期にSBIが取得した6,500,000株の譲渡元はSUPER STATE HOLDINGSであり、役員の保有分とは別である。したがって役員保有の減少を、希薄化や第三者への一括譲渡で説明することはできない。市場での売却と読むのが自然な変化である。

株価は2024年から2025年にかけて700〜900円台で推移した局面があった。仮にその水準で経営陣が保有株を手放していたとすれば、現在の株価202円との落差は大きい。会社は減少の理由も時期も開示していないため、売却の有無・価格を断定することはできない。ただし、株主に評価損と希薄化を強いる企業の経営陣が、大株主上位から静かに姿を消したという事実は、当事者性という観点で厳しく問われるべき論点である。次期以降、経営陣の保有動向が開示でどう推移するかは、注視に値する。

決算説明はAIアバターで行われた

gumi(3903)の情報発信のあり方について、事実を一点記録しておく。今期の決算説明動画は、経営陣本人ではなくAIアバターが説明する「AI型」で公開された。動画タイトルには「【AI型】株式会社gumi 2027年4月期第1四半期決算説明」と明記されている。ナレーションおよび登壇者は生成AIによるものである。

四半期ごとに巨額の損益変動を生み、後発事象で追加評価損の可能性まで抱える企業ほど、経営陣自身の言葉による説明責任が問われる。巨額赤字を計上した四半期の説明をAIアバターに委ねた判断が、投資家との対話姿勢としてどう受け止められるかは、市場の評価に委ねられる。これは効率化と説明責任という別軸の問題であり、後者を軽視すれば信頼はさらに削られる。以上は筆者の見立てであり、会社の意図を断定するものではない。

今後の展望|評価損・開発力・SBIの三点で検証する

gumi(3903)株価の先行きを占う論点は三つある。保有暗号資産の評価損がどこまで拡大するか、本業が開発投資を回収できるか、そして筆頭株主SBIがどう動くか。いずれも会社の開示からは確定的な答えが出ない。以下では前提を明示したシナリオとして整理し、株価水準の評価を最後に置く。

FCT・OSHIの評価損は、特別損失で処理しても本質は変わらない

FCT7,986百万円とOSHI2,655百万円の合計10,641百万円は、自己資本18,979百万円の56%に相当する。

上場廃止が進んで「活発な市場」が失われれば、取得原価と処分見込価額の差額が損失として計上される。会計上これを特別損失とするか営業外費用とするかは会社の判断に委ねられるが、区分がどちらであれ自己資本が削られる事実は変わらない。

むしろ問題は、この損失を一時要因として切り離せない点にある。会社はネオクリプト事業を「収益の主軸として成長させていく方針」と明記している。主軸と位置づけた事業の保有資産が毀損するのであれば、それは一過性の特別損失ではなく、事業モデルそのものの損失である。仮に特別損失として計上された場合、これを「本業とは無関係の一時的な損失」と読み替える見方には注意を要する。

開発力の課題は「IPを取れない」ではなく「取っても回収できない」

gumiは『ジョジョ』『ヒロアカ』という国内最上位クラスのIPを確保した。IP調達力そのものに問題があるとは言えない。課題はその先にある。『オラドラ』は想定を下回り、セグメント営業損失は△498百万円へ拡大し、売上総利益率は22.8%まで低下した。減価償却費は前年同期の12百万円から184百万円へ約14倍に膨らんでおり、開発投資の償却負担は今後も損益を圧迫する。

つまり構造的な問題は「強いIPを取れないこと」ではなく「強いIPを取っても運営とマネタイズで回収できないこと」にある。会社は新たに有力IPを用いた複数タイトルの開発に着手すると説明するが、回収できない構造のまま本数を増やせば、償却負担だけが積み上がる。『ヒロサバ』のQ2以降の課金実績が、この論点に対する事実上唯一の反証材料となる。

SBIとの一体化は進む一方、中期計画は未定のままである

SBIとの関係は資本面を超えて深化している。

有価証券報告書によれば、資本業務提携契約にはSBIが推薦した1名を社外取締役として受け入れる旨の条項があり、実際に社外取締役(監査等委員)の新井雄一郎氏は、SBI証券執行役員専務およびSBIネオメディアホールディングス執行役員を兼務する。セグメント名称を「ネオメディアエンタメ」「ネオクリプト」へ変更した点も、SBI側の構想と符合する。

だが肝心の中身は進んでいない。決算説明資料は、SBIグループとの連携による中期的な成長シナリオについて「協議を継続」しており「具体的な内容及び公表時期については現時点では未定」と記す。人的・名称上の一体化は進む一方、収益計画は示されないまま据え置かれている。投資家が評価できる材料が出るまで、この連携は依然として期待値の域を出ない。

想定されるシナリオと、少数株主への含意

第一は現状維持:中期計画が未定のまま推移する場合、株価を動かす材料は業績と暗号資産市況に限られる。

第二は完全子会社化:時価総額は約109億円であり、SBIが未保有の約69%を市場価格ベースで取得しても70億円台にとどまる。SBIの財務規模からすれば実行可能な金額である。

第三は第三者割当増資の引受である。

資金面の状況は、この第三のシナリオを無視できないものにしている。当第1四半期末の現金及び預金は3,057百万円に対し、有利子負債は短期借入金4,059百万円を中心に約4,695百万円。現金では借入を返済できない水準にある。利益剰余金は前期末の359百万円から△1,509百万円へ、1四半期で欠損に転落した。ワラントによる調達が株価下落で機能しない以上、追加資金が必要になれば増資が現実的な選択肢となる。

ここで重要なのは、「SBIによる救済」があるとすれば、それは会社の救済。必ずしも一般の少数株主の救済ではない点である。完全子会社化であれば低迷した株価を基準としたプレミアムで締め出される可能性があり、増資引受であれば希薄化を被る。いずれのシナリオも、現在の株主にとって無条件の好材料とは言えない。SBIが30%超を保有し続けている事実を、株価の下支えと短絡するのは危うい。

株価202円は割安か|暗号資産の評価次第で結論は反転する

PBR0.57倍という数字だけを見れば割安に映る。

だが自己資本18,979百万円のうち暗号資産は13,300百万円を占め、比率にして70%に達する。純資産の大半が、値動きの激しい、しかも一部は上場廃止が進行中のトークンで構成されている。暗号資産の評価をどう置くかで、割安か割高かの結論は反転する。

前提1株当たり純資産株価202円でのPBR
暗号資産を全額簿価で評価352円0.57倍
FCT・OSHIをゼロ評価155円1.30倍
暗号資産を全額ゼロ評価105円1.92倍

筆者試算。自己資本18,979百万円、発行済株式数53,897,034株を基に算出。

市場がPBR0.57倍を許容しているのは、純資産を額面通りに評価していないことの裏返しである。株価が反発するには、暗号資産の評価が確定して不確実性が剥落するか、本業が償却負担を上回る利益を生むか、そのいずれかが必要になる。現時点で、どちらの目処も立っていない。

次期に確認すべき指標を絞り込む

gumi(3903)の投資判断のため、次期以降で確認すべき指標を列挙する。

  • ネオメディアエンタメ事業の四半期単体セグメント営業損益:『ヒロサバ』の本格貢献(Q2以降)で△498百万円の赤字が縮小・黒字化するか。本業の生命線である。
  • FCT・OSHIの評価方法の確定:「活発な市場なし」と判断されれば追加評価損が計上される。保有暗号資産の8割に関わる。
  • 売上総利益率:22.8%まで低下した粗利率が、増収を伴って回復するか。課金がコストを回収できているかの直接指標である。
  • 営業キャッシュ・フロー:前期まで2期連続でマイナスであった。プラス転換が確認できるか。
  • 第26回ワラント消却後の需給:信用買残の解消が進み、上値の重さが軽減されるか。

まとめ:反発を支える材料は見当たらない

gumi(3903)が前回記事で待つべきとした「本業の営業黒字」と「営業CFのプラス転換」は、今回いずれも示されなかった。示されなかっただけではない。後退した。

ネガティブ材料

  • 大型IPを2枚投入してなお、本業(ネオメディアエンタメ事業)は営業赤字△498百万円と前年同期の2.6倍に拡大した。
  • 経常損失△2,018百万円の主因は暗号資産評価損△1,537百万円。
  • 前年同期を支えた評価益+1,094百万円は消え、評価損△1,537百万円に反転した。
  • 売上総利益率は37.5%から22.8%へ14.7pt低下、稼げない構造が露呈した。
  • 保有暗号資産の8割(FCT・OSHI)に、上場廃止に伴う追加評価損の火種が残る。
  • 全額ゼロ評価となればBPSは現行352円からおよそ155円まで沈む(筆者試算)。
  • 筆頭株主SBIは平均取得単価約591円(筆者試算)
  • 30%超を握る社長・取締役の持株は、大株主上位10名から消えた。
  • 巨額赤字の決算説明を、AIアバターに委ねた。

これらを踏まえたうえで、筆者の見解を明確に述べる。

この四半期の決算に、自律反発を支える材料は見当たらない。本業は大型IPをもってしても黒字化できず、利益の源泉は会社の統制外にある暗号資産の時価であり、その暗号資産には追加評価損の火種が残り、株価を支えるべき筆頭株主は含み損を抱えて動けない。改善の芽が数字として一つも確認できない以上、「いずれ見極める」という留保すら、現時点では楽観に過ぎる。

先行きについても同様である。FCT・OSHIの評価損は、特別損失に区分されたとしても自己資本を削る事実は変わらず、主軸と位置づけた事業の資産毀損である以上、一時要因として切り離すこともできない。本業は強いIPを取れないのではなく、取っても回収できない構造にある。

SBIとの一体化は人と名称の面で進む一方、収益計画は未定のまま据え置かれ、仮に救済があったとしても完全子会社化なら安値での締め出し、増資引受なら希薄化という形で、少数株主が無条件に報われる保証はない。株価202円は、暗号資産を額面通り信じればPBR0.57倍だが、FCT・OSHIをゼロ評価すれば1.30倍に反転する。割安に見える外形は、資産の質に対する市場の不信そのものである。

もちろん、『ヒロサバ』が想定外のヒットとなり粗利を押し上げる、暗号資産市況が急反発する、といった外部要因による反転の可能性はゼロではない。だが、それは会社の実力ではなく相場の運に賭ける話であり、投資判断の根拠にはなりにくい。評価益に頼らない「本物の数字」が複数四半期にわたって確認できるまで、この銘柄に見込みを見出すのは困難である。

株主として、失望を通り越して呆れざるを得ない決算であった。


参照:株式会社gumi「2027年4月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」「同 決算説明資料」「営業外費用の計上に関するお知らせ」(いずれも2026年9月11日)/株価・需給データは2026年9月14日時点。

注意事項:本記事は金融商品取引法上の投資助言を目的とするものではなく、景品表示法上の優良誤認・有利誤認を意図しない。記載の数値は開示資料に基づくが、将来を保証するものではない。筆者は本銘柄を保有しており、利益相反の可能性を開示する。投資判断はご自身の責任で行っていただきたい。

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この記事を書いた人

SADAのアバター SADA Active Investor & Web Content Director                            

SADA
・投資利益8桁を達成した個人投資家
・Webライター / ディレクター
・「keychron」認定インフルエンサー
・会社員としてマネジメント業務に従事

【投資スタイル】
コロナ禍の2020年6月より、知識ゼロから投資の世界へ。2021年にコア資産として「三菱商事」「伊藤忠商事」「JT」に集中投資しつつ、投資信託(日・米・印)で守りを固める。そこから得た利益で、グロース銘柄を買い集める「コア・サテライト戦略」を実行中。8桁の利益を出している。

【ビジネスの専門性】
26歳から民間企業に入社し、ルートセールスを経て営業事務課長へ昇進。総務・人事部でのISO立ち上げや人事考課システムの構築、営業部向けの売上分析など、企業のバックオフィスからフロントまで幅広い実務を経験。

特に自社がM&A(企業買収)された際は、リーダー職として基幹システムの統合責任者や2社間の業務調整に奔走した。こうした「現場のリアル」と「M&Aの当事者」としての過酷な経験が、現在の「決算書の数字から企業を理解する視点」の土台となっている。

【副業】
M&A後の過酷な労働環境(早朝から深夜までの27時間労働など)とコロナ禍を機に、「会社に依存しない生き方」を模索しWebライターとしての活動を開始。独学でスキルを磨き、現在ではリサーチから構成・編集・SEO対策までをワンストップでこなすディレクターとして活動中。

【ガジェットへの知見】
日々の膨大なテキスト入力やデータ分析を支えるため、キーボードをはじめとするガジェット選びには強いこだわりを持つ。
現在、世界中のキーボード愛好者から高く評価されている「keychron認定」インフルエンサー。

【趣味・ライフワーク】
1980年代からTHE ALFEEやTM NETWORKなどのライブに足を運び続ける熱狂的な音楽ファン。自身の人生経験と重ね合わせた熱量高いレビューも執筆している。
また、SNS運用の知見を活かし、実家の飲食店のInstagram運用(フォロワー2500人)を手掛けるなど、多角的な発信を続けている。

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