この記事では、不動産投資と金利上昇の関係を、2026年時点の事実にもとづいて整理します。金利上昇が不動産投資にどう影響するかを、順に見ていきましょう。日本銀行は2026年9月18日の会合で政策金利を1.25%へ引き上げ、金利は上がっていく局面に入りました。
ローンを組んで買う不動産投資にとって、金利は無視できない判断材料です。この記事では、返済負担や物件価格への影響、変動金利と固定金利の違い、金利上昇に備える視点までを中立的にお伝えします。買い時かどうかを断定はしません。判断の材料をそろえるための内容です。
この記事からわかること
- 金利上昇が不動産投資の返済負担・物件価格に与える影響
- 変動金利と固定金利の違いと、選ぶときの判断材料
- 金利が上がったとき返済額がどう変わるかの試算の考え方
- 金利局面で見るべき物件選び・市況指標の視点
金利上昇が不動産投資に与える影響
不動産投資と金利上昇の関係は、返済負担・物件価格・投資判断という3つの面に及びます。
ローンを使う投資では、借入金利が上がるほど毎月の返済が重くなる。同時に、金利は物件価格の水準にも波及します。まずは、この不動産投資 金利上昇の全体像から押さえていきましょう。
📣 金利上昇の3つの影響
- 借入金利の上昇で毎月の返済負担が増える。
- 利回りと金利の差(イールドギャップ)が縮み、収益性が圧迫される。
- 金利上昇は物件価格の調整要因にもなり、売却時の価格に影響しうる。
この3点は、借りて買う投資であれば物件タイプを問わず共通します。
返済負担と物件価格への影響
変動金利でローンを組んでいる場合、金利が上がると返済額そのものが増えます。
フルローンや長期のローンほど、金利変動の影響を受けやすい。一方で物件価格は、金利が上がると買い手の購入余力が下がり、調整方向に働きやすくなります。ただし価格の動きは立地や需給にも左右されるため、金利だけで決まるわけではありません。
実際の市況を見ると、首都圏の中古マンションは高値圏の調整局面に入っています。成約㎡単価は前年同月比でマイナスが続き、これまで下がっていなかった東京都区部の単価も約6年ぶりに前年割れへ転じました。都心だから値下がりしない、との従来の見方は、そのまま当てはまらなくなりました。
参照:東日本不動産流通機構「Market Watch サマリーレポート 2026年8月度」
野村證券の日銀見通しの要点
今後の金利がどこまで上がるかは、専門機関でも見方が分かれます。
野村證券によると、長期金利(10年国債)は3%前後が一つの目安との見方が示されています(2026年8月時点)。市場が織り込む利上げ回数も増える方向にあり、関心は「利上げするか」から「どのペースで続くか」へ移りました。ただしアナリストの見通しは四半期ごとに更新され、前提が変われば数値も変わります。あくまで判断材料の一つとして受け止めておきたいところです。
参照:野村アセットマネジメント「日本の長期金利はどの程度まで上昇するのか?」
金利上昇が及ぼす変動金利と固定金利の違い
金利上昇リスクを考えるうえで、変動金利と固定金利の違いは基本になります。どちらを選ぶかで、金利が上がったときの影響の受け方が大きく変わります。それぞれの特徴を順に整理していきましょう。
| 項目 | 変動金利 | 固定金利 |
|---|---|---|
| 当初の金利 | 低め | 変動より高めが一般的 |
| 金利上昇局面 | 返済額が増える可能性 | 返済額は変わらない |
| 向いている考え方 | 低金利メリットを取りたい | 返済額を固定して読みたい |
| 注意点 | 上昇リスクを自分で負う | 金利が下がっても恩恵は限定的 |
変動金利のリスクと特徴
変動金利は当初の金利が低く、返済開始時の負担を抑えやすいのが特徴です。
低金利が続けば、その分だけ利息を抑えられます。反面、金利が上がれば返済額も増える。上昇リスクを借り手が負う形になります。金利が上がっていく局面では、この特徴が重く効いてくるでしょう。返済に余裕をもたせた資金計画が前提です。
固定金利を選ぶ判断材料
固定金利は、返済期間中の金利が変わらないため、毎月の返済額を読みやすいのが利点です。
金利上昇局面では、この読みやすさが安心材料になるでしょう。一方で当初金利は変動より高めになりやすく、金利が下がっても恩恵は限られます。返済額を固定し、長期の収支を安定させたい人に向いた選択肢でしょう。どちらが正解かは、投資方針とリスク許容度によって変わります。
金利上昇で返済額はどう変わるか
金利上昇の影響は、返済額の試算で具体的にイメージできます。ここでは考え方を示します。実際の数値は借入額・期間・適用金利で変わるため、必ず自分の条件で計算してください。
試算の前提
以下は金利上昇の影響を理解するための概算例です。 借入3,000万円・返済期間35年・元利均等返済を前提に、金利のみを変えた場合の月々返済額の目安を示します。金利や返済額は金融機関・審査により異なり、保証されるものではありません。実際の借入前には金融機関の試算で確認してください。
| 借入金利 | 月々返済額(目安) | 金利1.0%時との差 |
|---|---|---|
| 1.0% | 約84,700円 | ― |
| 2.0% | 約99,400円 | 約+14,700円 |
| 3.0% | 約115,500円 | 約+30,800円 |
試算で見る返済額の変化
上の目安からわかるのは、金利が1%上がるだけで月々の返済が1万円以上増えるという点です。
借入額が大きいほど、また返済期間が長いほど、この差は広がる。金利上昇は毎月の手残り(キャッシュフロー)を直接削る要因です。家賃収入に対する返済の割合が高い物件ほど、影響は大きくなるでしょう。金利が上がれば、借りて買う投資は誰でも利回りが圧迫される。この構造を押さえておきたいところです。
金利上昇に備える資金の余裕
金利上昇に備える基本は、返済に余裕をもたせる姿勢です。
金利が上がっても返済を続けられるか、家賃が下がったり空室が出たりしても耐えられるかを、あらかじめ確認しておきます。金利+1%・家賃−10%・空室・減価償却後。こうした厳しめの条件で試算しておけば、想定外の局面でも判断を誤りにくくなります。自己資金を厚めに入れる、返済比率を抑える。こうした金利上昇対策は、局面を問わず効いてきます。
金利上昇局面での物件選びの視点
金利上昇局面では、物件選びの視点も変わります。
金利に弱い買い方・物件は、上昇の影響を受けやすくなります。ここでは立地・利回り・出口の3点から見ていきましょう。
金利局面で見る立地と利回り
金利が上がる局面では、家賃収入と返済のバランス(イールドギャップ)に、より注意が必要です。
利回りが金利に対して十分に取れていないと、金利上昇で収支が赤字に転じるおそれがあります。立地の良さは入居需要の面で前提になりますが、立地が良ければ安全とは限りません。都心の区分マンションでも、フルローン・長期ローン前提なら金利感応度は高くなります。立地・価格・利回りをセットで見る姿勢が求められます。
出口を意識した物件の選び方
物件選びでは、購入時だけでなく売却時(出口)も意識します。
金利上昇は買い手の購入余力を下げるため、将来の売却価格に影響しうるからです。値下がりしにくい立地か、需要が続く物件かを、購入前に検討しておきましょう。市況によっては、売却益(キャピタルゲイン)を前提にせず、家賃収入中心で考える選択肢もあります。出口の見通しが立てにくい物件は、金利上昇局面ではリスクが高まる点に注意が必要です。
金利上昇局面での不動産投資|今は買い時か
金利上昇局面での不動産投資。今が買い時かどうかは、断定できるものではありません。市場が終わったわけでも、今すぐ買うべきというわけでもありません。ここでは判断の考え方を示します。
断定を避ける買い時の考え方
金利がいつまで、どこまで上がるかは、専門機関でも見方が分かれています。
市場は今後の利上げペースを注視している段階で、先行きは不透明です。こうした局面では、値動きのタイミングを当てにいくより、自分の投資基準に合う物件かどうかで判断するほうが現実的でしょう。金利が上がっても返済を続けられる資金計画か、利回りが金利に対して十分か。この2点を満たせるなら、局面に関わらず検討の土台は整います。買い時を一律に語るのは避けるべきと考えられます。
専門家に相談する判断
金利の見通しや自分の属性での資金計画は、個人で判断しきれない部分もあります。
物件ごとの収支、金融機関の審査、税務の扱いは、条件によって大きく変わる。判断に迷う場合は、特定の物件を売る立場ではない第三者に相談し、複数の視点で検討するのも一つの方法です。営業提案をそのまま鵜呑みにせず、第三者の目で検証する。この姿勢が、金利上昇局面ではとくに大切になります。
中立の視点で相談先を選びたい方へ
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※相談は無料です。対象は26〜54歳の会社員・公務員/個人年収500万円以上が目安です。申込後に電話での事前ヒアリングがあり、面談は1〜2時間程度かかります。
金利上昇局面で見るべき市況指標
金利上昇だけでなく、市況全体を見て判断する姿勢も大切です。金利は判断材料の一つにすぎません。価格・空室・需給といった指標とあわせて見ることで、局面の理解が深まります。
自社レポートで見る市況
バリューナビでは、公的機関の一次データと自社の市況分析をもとに、市場の方向感を継続的に整理しています。
2026年8月時点の市況を要約すると、中古マンションは高値圏の調整が数量から価格へ、そして都心へと広がりました。首都圏の成約件数は減少が続き、在庫は増加傾向です。一方で新築の高額帯は富裕層需要で堅調と、市場は二極化しています。金利上昇と価格調整が同時に進む局面では、物件の価格帯と金利への弱さで明暗が分かれるでしょう。
空室率と価格の動向
物件の収益を左右するのは、金利だけでなく空室と家賃の動向です。
空室が増えれば家賃収入が減り、返済負担がそのまま重くのしかかる。価格が調整局面にある地域では、売却時の価格も慎重に見積もりたいところです。金利・価格・空室の3つをセットで見て、収支が金利上昇に耐えられるかを確認する。不動産投資と金利上昇を考えるうえで、この視点が判断の基本になります。
金利上昇と不動産投資のよくある質問
- 金利はいつまで上がりますか?
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断定はできません。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げ、利上げを続ける方針を示しました。ただし今後のペースは会合ごとの判断次第です。専門機関でも見方が分かれます。最新の情報を確認しつつ、金利が上がっても耐えられる資金計画を立てておきましょう。
- 変動から固定に借り換えるべきですか?
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一律には言えません。固定に借り換えれば返済額は読みやすくなりますが、当初金利は上がりやすく、借換えの諸費用もかかります。残債・残期間・現在の金利差によって損得が変わるため、自分の条件で試算し、金融機関に相談して判断するのが妥当です。
- 金利が上がる今、買うべきですか?
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買い時を一律に語ることはできません。金利が上がっても返済を続けられる資金計画か、利回りが金利に対して十分に取れているか。この2点を満たせるなら、局面に関わらず検討の土台は整うと考えられます。タイミングを当てにいくより、投資基準に合うかで判断するのが現実的です。
- 金利上昇の影響を受けにくい物件はありますか?
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自己資金を厚めに入れ、利回りが金利に対して十分に取れている物件は、影響を受けにくい傾向があります。反対に、フルローン・長期ローンで利回りが低い物件は、金利感応度が高くなります。ただし完全に影響を避けられる物件はありません。借りて買う以上は一定の金利リスクを負う点に注意しましょう。
まとめ|金利は判断材料の一つ
金利上昇は不動産投資にとって逆風の要素ですが、それだけで投資の良し悪しが決まるわけではありません。
日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げ、金利は上がっていく局面に入りました。借りて買う投資では、金利が上がるほど利回りが圧迫されます。だからこそ、金利+1%・家賃−10%・空室といった厳しめの条件でも耐えられるかを、購入前に確認しておくことが大切です。金利は判断材料の一つとして冷静に受け止め、立地・価格・利回り・出口をセットで見て判断しましょう。
不動産投資の始め方や相談先の選び方は、次の記事も参考にしてください。



