2026年の投資戦略を考えている方へ。
M&A仲介業界は今、空前の「選別期」を迎えている。 かつての「出せば成約、出せば成長」というボーナスタイムは終わりを告げた。しかしながら、懸念事項であった「業界の浄化」が進んだ現在、強固な受託基盤も取り戻しつつある。ここからは、人材育成能力、規律あるコスト管理ができる企業だけが生き残るフェーズへと移行した。
本稿では、2026年2月時点での大手3社の最新決算を分析し、M&A仲介ランキングを作成している。当初の想定に反して「利上げペースが鈍化するであろう観測」も考慮すれば業界としてポジティブ。投資戦略を組むうえで、前向きにM&A仲介業を検討してよいだろう。最後まで読むと、業界動向はもちろんM&A仲介大手3社の比較もできるので、ぜひ銘柄選定の参考にしてほしい。
※この記事は公開情報に基づく分析であり、投資推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
投資戦略|M&A仲介大手3社をランキング形式で評価
投資戦略を考える上で、重要なのは銘柄の決算分析だ。
2026年の最新決算においてM&A業界は、劇的な勢力変化を見せた。特に、数字で圧倒的な成長を証明した1社と、将来への不安を指摘された2社の差が、株価の猛烈な二極化を招いている。
1位.ストライク:死角なしの「完全勝利」

M&Aの投資先として、ランキング1位はストライク。
3社の中で唯一、「受託・成約・増員・公的評価」すべてが正回転している。2025年は大型案件の期ズレが続いていたが、今回の決算はポジティブ一色といえる内容。
驚異の1Q決算と収益構造
営業利益が前年比135.2%増(12.4億円)とロケットスタートを記録。特筆すべきは、売上が大幅に伸びる一方で、広告宣伝費を前年同期比で約3,500万円も抑制している点だ。これは、闇雲な集客に頼らず、増員した451名のコンサルタント(アドバイザー)が自力で良質な案件を掘り起こす「筋肉質な体制」が完成していることを示している。
JPXスタートアップ急成長100への選定
2026年2月17日、同社が「JPXスタートアップ急成長100指数」の構成銘柄に選定された。これは東証が認める「日本を代表する高成長企業100社」の1社として公認されたことを意味する。3月9日のリアルタイム算出開始に向け、機関投資家からの買い需要や、さらなる知名度向上が期待される。
ストライクに対する市場の評価
当初のコンセンサス予測を実数値で粉砕し、さらに「1:3の株式分割」と「新指数選定」というサプライズを連発した。需給・成長性ともに隙がなく、セクター内の「最強の本命」として独走状態にある。特に、成長投資の手を緩めず、かつ「3年間180円の配当保証」と異次元の還元姿勢を打ち出している点は、強い買い材料と言えるだろう。
参照:株式会社ストライク|2026年9月期 第1四半期決算説明資料
2位.日本M&Aセンター:進捗率93%でもネガティブ

2位は業界最大手である日本M&Aセンターとした。
直近のQ3単体(10-12月)の経常利益は72億円(前年比52%増)と極めて強い。しかし、これは、過去に仕込んだ「ミッドキャップ案件」を効率よくクローズした結果と見ている。同時に「刈り取り」による利益の限界も見える内容であった。:
AIによる効率化と必勝スタイルへの回帰
将来の成長源である新規受託件数は306件(同7%減)、累計では前年比14%減。コンサルタント数も2四半期連続の純減となり、特に入社3年未満の若手層の定着に課題がある。
一方でポジティブな側面として、同社はかつての「正常な業績達成サイクル」への回帰を宣言している。3Qまでに今期目標をほぼ完遂し、4Qは来期のスタートダッシュに向けた新規受託強化にリソースを全振りするスタイルだ。
また、音声解析AI「Bring Out」を導入し、600名の商談を可視化。属人性を排除し、成約率を高める「データドリブン経営」による反撃の準備も着々と進んでいる。
日本M&Aセンターに対する市場の視点
足元の利益は高いが、在庫(案件)と人(戦力)が減少している。4QにどれだけAI活用で効率を高め、受託を回復させられるか。来期(27.3期)の成長持続性を占う上での「正念場」と判断されている。自己資本比率は76.4%と高く、配当利回りも高く(3%台後半)中長期で見るべきフェーズといえる。
参照:株式会社日本M&Aセンター|2026年3月期決算説明資料
3位.クオンツ総研:予想比27%の下振れと成長余地

3位はクオンツ総研。
社名を刷新しAIとリースを掲げたが、2月13日の最新決算は「ややネガティブ」と断じられる内容であった。次の柱となるべく「コンサル事業」の成長を待つ段階で段階のため、短期投資には向いていないだろう。2026年2月13日の決算発表を受け、株価は855円まで大暴落した。
市場予想を下振れた実績と受託残高の激減
1Q営業利益11億円は、事前の予想(15億円)を27%も下振れた。主力のM&A仲介事業は売上高39億円(前年比0.4%減)、成約件数55件(同15%減)と、まさかのマイナス成長。
加えて、深刻な在庫(受託残高)の激減も痛手と言える。アドバイザーの12名離脱も響いたのか、受託残高件数が前四半期比で283件も激減(1,682件)。市場はこれを「単純な競争力の低下」と受け止めている。
金融機関からの55億円融資の光と影
V字回復への期待値として発表された計55億円の借入は、ポジティブに見れば、銀行による同社の再建計画への「お墨付き」である。金融機関が厳格な審査の末に巨額資金を供給した事実は、同社のV字回復シナリオに妥当性と信頼性があると証明している。
ただし、55億円融資の影としては、自由を奪う「赤字禁止」の特約。今回の融資には「経常損益を2回連続して損失(赤字)としないこと」という厳しい財務制限条項が付されている。(出典:2025.9期 決算短信 P.13)
クオンツ総研に対する市場の評価
仲介本業が想定外の失速を見せる中、赤字が先行するコンサル事業への投資をどこまで維持できるか。「失敗が許されない重圧」が、かつてのような大胆な投資攻勢を鈍らせるリスクとして意識され、株価暴落の引き金となった。現在は成長のための屈伸の最中であるが、コンサル事業の成長次第では大きく伸びるポテンシャルも感じさせる。
参照:株式会社クオンツ総研|2026年9月期第1四半期決算説明資料
投資戦略として診るM&A市場の現状
日本経済が直面する構造的課題が、M&A仲介市場を単なる流行ではなく「巨大なインフラ産業」へと押し上げている。前政権が掲げていた「地方創生」は、現・高市政権でも中核として位置づけられている。また、事業承継だけでなく「成長戦略」としてのM&Aの重要度も増していくのは間違いない。
「2025年問題」と後継者不在のリアル
日本の中小企業が直面している後継者不在の現状は、一企業の進退に留まるものではない。
国家的な構造リスクへと深刻化している。帝国データバンクが2024年に実施した調査によれば、全国の後継者不在率は52.1%に達している。つまりは、半数以上の企業が次世代へのバトンタッチの目途すら立っていないのが実態だ。
特筆すべきは、廃業に追い込まれる企業の約半数が、直前期まで利益を計上していた「黒字廃業」であるという点だ。中小企業白書が警鐘を鳴らす通り、これら優良企業の消滅は、長年培われた固有技術や雇用の喪失に直結する。放置すれば、日本経済全体の活力を根底から削ぎ落とす要因になり下がるのは明らかだ。ここには、M&A仲介の活躍できる余地がふんだんに残っているといえよう。
年間「1.2万件」に及ぶ潜在市場の根拠
市場の「パイ」の大きさについて、仲介大手は極めて強気な試算を立てている。具体的には、国内中小企業の中で「黒字経営かつ経営者が高齢」「後継者が不在」で絞り込むと、年間成約件数は約12,000組に上る。
対して、現状の上場仲介大手による年間成約数は合計で2,000〜3,000組程度に過ぎない。ここから分かるのは、潜在市場のわずか2割程度しか掘り起こされていない事実だ。未開拓の8割をいかに迅速に、かつ組織的に掌握できるか。この「市場浸透率の低さ」が、仲介各社にとっての主戦場であろう。名実ともに。巨大なインフラ産業へと飛躍するための決定的な勝機となっている。
M&A銘柄の展望:規制強化による「大手への寡占化」
業界では現在、行政主導のルール形成による「適者生存」が加速している。
中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」改訂」により、重要事項説明や財務調査、利益相反の開示が厳格化された。これに伴いコンプライアンス維持コストが激増。この「ルールの壁」を突破するには高度な法務体制や管理システムが不可欠となり、安易な参入が困難な状況だ。
また、市場の活況を背景に登録機関は3,000社を超えたが、その約9割は小規模事業者である。新興業者の多くは規制強化によるコスト増や訴訟リスクに対応できず、淘汰が進んでいる。結果として、厳格なルールを遵守しつつ成約を実現できるのは、一部の大手M&A仲介企業のみだ。参入障壁が厳しくなり、シェアは収斂する方向なのは間違いない。「強者総取り(Winner Takes All)」のトレンドが鮮明となり進むだろう。
投資戦略としてのM&A銘柄の結論
2026年のM&A仲介に対する市場の関心は「単なる急成長」から「成長の質と持続性」へと移り変わっている。
規制強化によって「質の低い業者」が排除される流れは、これからも継続するはずだ。中長期的には「信頼できる大手企業への市場集約」が加速する展開で間違いない。
M&A仲介大手各社の成長戦略は、リスク許容度によって明確に色分けされている。投資銘柄を選ぶ場合は、過去の成長率といった表面的な数字で判断するのは悪手だ。これからは「受託残高」や「人材の定着」といった先行指標の見極めが唯一の正解となるだろう。
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追記
M&A仲介業界の『選別』が進むなか、投資家が次に注視すべきは『既存ビジネスの強固な基盤を持ちつつ、DXや新領域で成長を狙う企業』です。 私が直近で分析したインフォマート(2492)の決算分析では、現在の株価位置と成長性の乖離について詳しく解説しています。M&A業界の動向と併せてチェックしてみてください。

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